【予想法の概要】
奥村が開発した競馬予想法はいくつかある。その中で代表的な予想法について紹介する。
「バージョン7」
「バージョン7」は、奥村が「バージョン1」から構築した競馬予想法の中で、初めて経常的な利益を創出した予想法だ。詳細は「競馬必勝法の新理論「バージョン8」 KKベストセラーズ刊」の中で書かれているが、これは複勝式を使った競馬予想法だ。馬券で利益を出そうとする時に、控除率(=JRAの取り分=寺銭)は重要なポイントになる。JRAの控除率は購入する馬券の種類によって異なる。現在では、単勝式・複勝式が20%、枠連・馬連・ワイドが22・5%、馬単・3連複が25%、3連単が27・5%、WIN5が30%である。この5%・10%の違いは、的中馬券の配当金に直接関わってくるから大きな意味を持つ。特に1年に何回かG1レースだけを買っている人ならまだしも、毎週のように馬券を買っている人には控除率の高低が馬券の収支を直接左右する。数学を少しは学んだ人であれば、控除率が30%も取られてしまっては、経常的に利益を出すことが不可能に近いことは容易に想像がつく。つまり、馬券の収支をトータルでプラスにしようと思うのであれば、もっとも控除率の低い単勝か複勝で勝負することが有利であることは間違いない。「バージョン7」では、複勝式で人気で言うと3番人気から7番人気に辺りに網を張る。そして今日、もっとも出現頻度が高いと思われる能力順位をターゲットにして、複勝で1日で資金を1・1倍にすることを目指していく。1日の目標が1・1倍ではほとんど利益が無いように思うかもしれない。しかし、ギャンブルではなく投資に目を向けた時、株でもFXでも1日で投資金の1割の利益をコンスタントに出せるものはない。しかも1日に1割の利益を出し続けることができれば、複利運用で1か月(=土・日8日間)で資金を2・14倍まで膨らませることができる。「バージョン7」は、「競馬は最高の投資の素材である」という奥村の言葉を実践する確実な投資馬券術である。
「バージョン8」
「バージョン8」は奥村が構築した競馬予想法の中で、もっとも完成された予想法である。バージョン8では、9000レースの検証によって、レース結果に影響を与える15個の要素をピックアップした。それは「血統」「距離適性」「前走の着順」「前々走の着順」「タイム」「着差」「コース適正」「展開」「馬場状態」「騎手」「騎手との相性」「調教師」「ローテーション」「調教・坂路調教」「コメント」の15個である。これらの要素はレース結果に対して同じウエイトで影響を与えているわけではない。影響力の大きな要素もあれば小さな要素もある。それを係数という形で掛けることで、レース結果に能力評価が合うように調整していく。具体的には「血統✖1・2」「距離適性✖1・9」「前走の着順✖2・1」「前々走の着順✖2・4」「タイム✖1・4」「着差✖2・6」「コース適正✖1・2」「展開✖1・3」「馬場状態✖1・4」「騎手✖1・4」「騎手との相性✖1・2」「調教師✖1・3」「ローテーション✖1・1」「調教・坂路調教✖1・7」「コメント✖1・0」となる。分かりやすく言えば、出走馬の能力を客観的に評価するためには、着差や前々走の着順、前走の着順を重視すべきであるということ。逆にコメントやローテーションはあまり考えなくて良いということになる。このようにして出走全馬を能力評価していくが、それで予想は終わらない。今日のレースでは能力順位で何位の馬が来る可能性が高いのかをフラクタル理論を用いた配当金の波を読んで決めていく。競馬では常に強い馬が勝つわけではない。能力が劣る馬でもコンディションやレース展開によっては大駆けすることもしばしばある。この波から判断して、たとえば今日は能力順位2位と5位の組み合わせを買っていこうとか、能力順位1位と3位の組み合わせで勝負しようと決めていくのだ。競馬では1点買いで勝負しなければならないわけではない。ここで選んだ能力順位の組み合わせを3点とか4点買って、1日全レースに網を張る。これが3か月で資金を350倍にした競馬予想法である。
「バージョン9」
人間でも競馬でも、短距離競走でもマラソンでも、スタートで激走すれば、ゴール前のスピードは落ちる。逆にスタート直後に足をためれば、ゴール前ではスピードが伸びる。これが当たり前の理屈である。競馬ではスタート直後のことを、「最初」とか「真っ先」という意味で”テン”という。そしてレース終盤からゴール前のことを”しまい”とか”上がり”という。それではテンも上がりも速い馬はどうだろう。それは間違いなく”強い馬”と言えるのではないか。その発想から強い馬を選んでいくのが「バージョン9」という競馬予想法だ。競馬ではレース中に不利を受けることがある。それはレースの中盤でしばしば発生する。芝1200mを1分7秒で走ったとしても、それが途中で不利を受けたタイムなのか、スムーズに走ったタイムなのか、それによって馬の評価は変わってこなければおかしい。そこで「バージョン9」では、レースの中盤は潔く評価の対象から省いて、テンの3ハロン(600m)と上がりの3ハロン(600m)の相対関係だけに着目して力の優劣を決める。ただ、これは言うほど簡単にはできない。JRAの競馬場は全国に10か所ある。レースを俯瞰して映すテレビ中継の映像では気づきにくいが、コースの中には高低差がさまざまにある。たとえば中山競馬場の芝コースは、ゴール前の直線は310mと短く、途中の約110mの間に2・2mも駆け上がる急坂がある。一方、新潟競馬場の芝外回りコースは、3コーナーに高低差2mのアップダウンがあるが、それ以外は平坦でアップダウンはない。ゴール前の直線は660mと長く平坦だから、当然上がりのタイムは早くなる。また、東京競馬場の芝2000mは、スタート直後に第2コーナーへ向けて傾斜の強いカーブに入るから、テンのスピードは落ちるし外枠の馬は不利になる。同じ東京競馬場でも芝1600mは第2コーナーを回った直線の入り口がスタート地点である。スタート直後は高低差の無い直線を進むことになるから、テンのスピードは出やすい。つまり出走馬の前走のテンと上がりの3ハロンのタイムを馬柱でチェックしたとしても、コース別、芝・ダート別、距離別(スタート地点別)にタイム補正を正しく行わないと同じ土俵で評価することは出来ない。1番の馬はテンが37秒で上りが36秒だったとする。2番の馬はテンが38秒で上りが37秒だったとする。単純に考えれば1番の馬の方が早いことになる。ただ、これにコース別、芝ダート別、距離別に補正を行ったときに、2番の馬の方が評価が上になることもあるのだ。そしてこの補正の値は2万レースを越えるレースを検証して導きだされたタイム差によって修正する。このJRA全10か所のコース別、芝ダート別、距離別(スタート地点別)のタイム補正は気の遠くなるような根気のいる作業である。奥村は自身の経営する(株)日本システム開発の社員約10名を3か月以上にわたってこの作業に専従させた。そして前走のテンと上がりの相関関係によって馬の強さを評価する予想法「バージョン9」を完成させたのだ。